家庭菜園でいちごの栽培に挑戦したいけれど、地植えは難しそう…と悩んでいませんか。露地栽培には多くのメリットがありますが、始める時期や露地栽培に適した時期の選び方、寒冷地での育て方など、気になる点は多いでしょう。また、「いちごは庭に植えてはいけない」と聞いて不安になったり、「地植えのいちごは植えっぱなしにできますか?」や「イチゴは連作できますか?」といった疑問を持つ方もいるかもしれません。この記事では、露地栽培を行う農家の知見も参考にしながら、初心者の方が抱える「いちごの地植えの植え方は?」という基本的な疑問から、適切な露地栽培の肥料の与え方まで、植えっぱなしで育てる際の注意点を含めて網羅的に解説します。
記事のポイント
- いちごの地植え栽培に適した時期や基本的な植え方がわかる
- 露地栽培のメリットや寒冷地での育て方のポイントがわかる
- 肥料の与え方や植えっぱなしで育てる際の注意点がわかる
- 連作障害など、いちご栽培でよくある失敗とその対策がわかる
失敗しない!いちご栽培 地植えの基本
- いちごの露地栽培が持つメリット
- 露地栽培を始めるのに最適な時期
- 植え付けの時期と作業スケジュール
- 解説!いちごの地植えの植え方は?
- いちごの露地栽培は寒冷地でも可能?
- いちごを庭に植えてはいけないと言われる理由
いちごの露地栽培が持つメリット
いちごの地植え、いわゆる露地栽培には、家庭菜園ならではの魅力的なメリットがたくさんあります。最大の利点は、ビニールハウスや暖房設備といった特別な施設が不要で、初期コストを大幅に抑えて手軽に始められる点です。農業用のハウスを建てるとなると多額の費用がかかりますが、露地栽培なら苗と基本的な園芸用具さえあれば、誰でも挑戦できます。
また、太陽の光をたっぷりと浴び、自然の雨風の中で育つため、いちご本来の力強い風味と豊かな香りを味わうことができます。旬の時期に、朝採れの完熟した実をその場で味わえるのは、露地栽培ならではの最高の贅沢と言えるでしょう。実際に、太陽光を浴びることで糖度が高まるだけでなく、ビタミンCなどの栄養価も豊富になると言われています。病害虫に対する抵抗力がつき、たくましく育つ傾向があるのも嬉しいポイントです。
露地栽培の主なメリット
コストが低い: ビニールハウスや暖房などの高価な設備が不要です。
自然で濃厚な味わい: 太陽光をふんだんに浴びることで糖度が高まり、風味が豊かになります。
手軽さ: 畑や庭のわずかなスペース、プランターでも栽培を始められます。
強い株に育つ: 自然環境にさらされることで、病害虫への抵抗力がつきやすくなります。
一方で、もちろんデメリットも存在します。露地栽培は気象条件の影響を直接受けるため、春先の長雨による灰色かび病の発生や、夏の高温・乾燥によるハダニの被害、さらにはヒヨドリやムクドリといった鳥による食害のリスクがあります。また、収穫時期が春の一時期(主に5月〜6月)に限定される点も、温度管理によって収穫時期を調整できるハウス栽培との大きな違いです。
露地栽培の注意点
天候に収穫量が大きく左右されやすく、防鳥ネットや病害虫への対策が不可欠です。収穫時期もハウス栽培のように長期間にわたってコントロールすることはできません。
露地栽培を始めるのに最適な時期
いちごの地植え栽培を成功させる上で、最も重要な要素の一つが「植え付け時期」です。最適な時期は「秋」であり、一般的な温暖地では10月中旬から11月上旬が植え付けのベストシーズンとされています。この時期に植えることで、いちごは冬の休眠期に入る前に地面にしっかりと根を張り、厳しい寒さに耐えるための準備を万全に整えることができるのです。
なぜ秋に植えるのが良いのか?
いちごは「短日植物」であり、日が短くなり気温が下がってくると花芽を形成する準備を始めます。そして、冬の低温に一定期間さらされることで休眠状態に入り、春の訪れとともに目を覚まして一斉に花を咲かせる「休眠打破」という性質を持っています。秋に苗を植え付けて冬を越させることで、この植物本来のサイクルがうまく働き、春にはたくさんの花、そして美味しい実をつけてくれるのです。
春(3月〜4月)にも花つきの苗が販売されていますが、これは主にプランターですぐに楽しむためのものです。地植えで翌年以降の豊かな収穫を目指す場合は、秋植えに比べて収穫量が少なくなる傾向があるため、やはり秋に植え付けるのが王道です。
焦って春に植えるよりも、秋からじっくり育てる方が結果的にたくさんのいちごに出会えます。来年の春の収穫を夢見て、秋の植え付けにぜひチャレンジしてみてくださいね!
植え付けの時期と作業スケジュール
いちごの地植え栽培は、植え付け前の準備から収穫まで、計画的に進めることが成功の秘訣です。ここでは、一般的な温暖地における年間の作業スケジュールを、各作業の目的と合わせて詳しくご紹介します。
時期 | 主な作業内容 | 目的とポイント |
---|---|---|
9月下旬~10月上旬 | 土づくり | 植え付けの2週間前までに苦土石灰で酸度調整を、1週間前に堆肥や元肥を混ぜ込み、いちごが好むフカフカの土壌を作ります。 |
10月中旬~11月上旬 | 植え付け | 株間を30cmほど確保し、生長点であるクラウンを埋めないように浅植えします。冬が来る前に根を張らせることが目的です。 |
2月下旬~3月上旬 | 追肥・マルチング | 春からの成長に備えて追肥をします。マルチングで地温を上げ、雑草や病気を防ぎます。 |
3月~4月 | 開花・人工授粉 | ミツバチなどの活動が鈍い時期は、筆などで優しく受粉させると形の良い実ができます。不要な葉やランナーも摘み取ります。 |
5月中旬~6月上旬 | 収穫 | ヘタの近くまで真っ赤に完熟した実から収穫します。鳥に狙われやすいため、防鳥ネットなどで対策しましょう。 |
このスケジュールはあくまで目安です。お住まいの地域の気候や、その年の天候によって作業時期は前後しますので、植物の様子をよく観察しながら調整してください。
解説!いちごの地植えの植え方は?
美味しいいちごを育てるためには、正しい方法で植え付けることが非常に重要です。特に、「苗選び」「土づくり」「植え方」の3つのステップを丁寧に行うことが、その後の生育を大きく左右します。
1. 良い苗を選ぶ
全ての始まりは良い苗選びからです。園芸店やホームセンターで苗を選ぶ際は、以下の点を確認しましょう。
- クラウン(株元のギザギザした部分)が太く、がっしりしている
- 葉の色が濃い緑色で、病気や虫食いの跡がない
- ポットの底から白い根が見えている(根張りが良い証拠)
2. 肥沃な土づくり
いちごは、水はけと水もちのバランスが良く、有機質に富んだ弱酸性(pH5.5~6.5)の土壌を好みます。植え付けの2週間ほど前に、1㎡あたり100g程度の苦土石灰をまいてよく耕し、土の酸度を調整します。その1週間後に、完熟堆肥を1㎡あたり約2kgと、元肥となる化成肥料(チッソ-リン酸-カリが8-8-8など)を150g程度混ぜ込み、幅60cm、高さ10cmほどの畝(うね)を作っておきましょう。
3. 植え方の重要ポイント
苗を植える際には、生育を決定づけるいくつかの大切なコツがあります。
株間を確保する: 苗と苗の間は30cm程度しっかりとあけます。葉が茂ったときに風通しを良くし、病気を防ぐとともに、日光が株元まで届くようにするためです。
浅植えを徹底する: 苗の根元にあるクラウンが土に埋まらないように、クラウンが少し地上に出るくらいに浅く植えるのが最大のポイントです。深植えすると、クラウンから新しい芽が出なくなり、最悪の場合枯れてしまいます。
ランナーの向きを揃える: ポットから出した苗には、親株と繋がっていたランナーの跡が残っています。いちごの花(実)は、このランナーの跡の反対側にできる性質があります。収穫しやすいように、実がなる方向を畝の外側などに揃えて植えると、管理が格段に楽になります。
豆知識:クラウンとは?
クラウンは、いちごの葉や花芽、ランナーが出てくる非常に重要な「生長点」です。人間でいえば心臓部のような場所で、ここが土に埋まってしまうと呼吸ができなくなり、病気の原因にもなるため、植え付けの際は特に注意が必要です。
いちごの露地栽培は寒冷地でも可能?
いちごは本来、生育適温が17〜20℃と冷涼な気候を好む植物なので、北海道や東北などの寒冷地での露地栽培は十分に可能です。実際に、雪の下でも越冬するほどの優れた耐寒性を持っています。ただし、美味しい実をたくさん収穫するためには、寒冷地ならではの気候に合わせた工夫が必要になります。
最も重要なのは、厳しい霜や土壌凍結から株を守ることです。冬の間に株が傷んでしまうと、春からの生育に大きく影響を及ぼします。また、融雪後の春先にやってくる遅霜によって、せっかく咲いた花がダメージを受けて結実しないこともあるため、注意深くケアすることが求められます。
寒冷地での栽培成功ポイント
マルチングの徹底: 黒いビニールマルチは必須です。さらにその上に、株元へワラやもみ殻、落ち葉などを厚めに敷く「敷きわら」を行うことで、土の凍結を効果的に防ぎ、保温効果を高めます。
防寒対策: 厳冬期には、不織布や寒冷紗(かんれいしゃ)をトンネル状に設置して、株を直接的な寒風や霜、大雪から保護すると良いでしょう。これにより、株の消耗を最小限に抑えられます。
品種選び: 寒さに強く、短い生育期間でも実がなりやすい品種を選ぶことが大切です。家庭菜園向けでは、古くから定評のある「宝交早生」のほか、北海道の気候に合わせて育成された「けんたろう」といった品種が比較的育てやすいとされています。(参照:道南農試研究部園芸環境科いちご「けんたろう」の栽培指針)
いちごを庭に植えてはいけないと言われる理由
「いちごを庭に植えてはいけない」という話は、園芸好きの間で時々語られます。これは単なる迷信ではなく、いちごの持つ旺盛な性質に起因する、いくつかの現実に即した理由に基づいています。もちろん、きちんと対策をすれば庭での栽培は十分に楽しめますが、安易に植える前に知っておくべき注意点があります。
庭植えの主なリスクと対策
- 驚異的な繁殖力
- いちごは「ランナー」と呼ばれるつるを四方八方に伸ばし、その先に子株を作ってどんどん増殖します。1株の親株から、1シーズンで10以上の新しい株ができることも珍しくありません。放置すると庭中がいちご畑になり、他の植物の生育スペースを奪ってしまう可能性があります。
対策:レンガや専用のエッジング材で植栽範囲を区切る、不要なランナーはこまめに切る、などの管理が必要です。 - 連作障害が出やすい
- 前述の通り、いちごは同じ場所で数年育てると生育が悪くなる「連作障害」が顕著に現れる植物です。庭の決まった場所に植えっぱなしにすると、年々収穫量が減り、やがては枯れてしまいます。
対策:3〜4年ごとに植える場所を変える「輪作」を計画するか、プランター栽培に切り替えるのが賢明です。 - 病害虫の温床になりやすい
- 地面を這うように葉が密集するため、風通しが悪くなりがちです。湿気がこもりやすいため、ナメクジやダンゴムシの絶好の隠れ家になったり、うどんこ病や灰色かび病といった病気が発生しやすくなります。
対策:適切な株間を保ち、枯れ葉や古い葉をこまめに取り除いて、風通しと日当たりを常に良好に保つことが重要です。
これらの理由から、計画なしに庭に植えてしまうと、後々の管理が非常に大変になることがあります。いちごの性質をよく理解し、繁殖をコントロールする工夫が不可欠です。
収穫量を増やす!いちご栽培 地植えの管理術
- 露地栽培で農家が実践するコツ
- 甘く育てる露地栽培の肥料の与え方
- 注意点!イチゴは連作できますか?
- 地植えのいちごは植えっぱなしで大丈夫?
- Q.地植えのいちごは植えっぱなしにできますか?
- 美味しいいちご栽培 地植えの総まとめ
露地栽培で農家が実践するコツ
家庭菜園でも、プロである農家が実践しているちょっとしたコツを取り入れるだけで、いちごの収穫量や品質は格段にアップします。特別な道具や難しい技術は必要なく、日々の丁寧な観察とこまめな手入れがすべての基本です。
1. マルチング
これは多くの農家が必ず行う、最も基本的で効果の高い作業です。黒いビニールマルチを畝に張ることで、地温を上昇させて春先の生育を促進する効果があります。また、雑草の発生を物理的に抑えることで、いちごへの養分供給をスムーズにします。さらに、雨による泥はねを防ぎ、果実が直接土に触れて汚れたり、そこから病原菌に感染したりするのを防ぐという、一石三鳥以上の重要な役割を果たします。
2. 摘葉(てきよう)・ランナー摘み
美味しい実に栄養を集中させるための重要な作業です。冬を越した古い葉や、黄色く枯れた葉、病気の兆候がある葉は、株元からこまめに取り除きましょう。これを「摘葉」といいます。風通しを良くして株元まで日光が当たるようにすることで、病気の予防と果実の色づき促進につながります。また、収穫が終わるまでは、株を増やすためのランナーも不要なので、見つけ次第付け根からカットします。これにより、無駄な栄養の消費を抑え、甘くて大きな果実を育てることができます。
3. 受粉の補助と敷きわら
春先、まだミツバチなどの訪花昆虫の活動が活発でない時期に咲いた花は、受粉が不十分で形のいびつな「奇形果」になりやすいです。これを防ぐため、耳かきの梵天(ぼんてん)や柔らかい筆などで、花の中心を優しく撫でて人工的に受粉させてあげると、形の整ったきれいな実になります。また、実が大きくなり始めたら、株元に清潔なワラを敷いてあげると、果実が直接マルチや土に触れるのを防ぎ、傷や病気から守ることができます。
面倒に思えるかもしれませんが、この「摘葉」と「ランナー摘み」、そして「受粉の補助」を丁寧に行うことが、お店で売っているような美味しいいちごへの一番の近道ですよ!
甘く育てる露地栽培の肥料の与え方
いちごの味、特に甘さを左右する重要な要素が「肥料」です。与えるタイミングと種類、量を間違えると、葉ばかりが青々と茂って実がならなかったり、水っぽい味になったりします。肥料は、植え付け時に与える「元肥」と、生育の途中で与える「追肥」の2段階で考えます。
元肥(もとごえ): 植え付け前の土づくりの際に、堆肥などと一緒に土に混ぜ込む肥料です。根が直接触れても傷みにくい、ゆっくりと効果が続く緩効性の化成肥料や有機肥料が適しています。
追肥(ついひ): いちごの生育に合わせて、追加で与える肥料です。露地栽培では、主に冬眠から覚めて株が再び成長を始める2月下旬から3月上旬が最初の重要なタイミングです。
この時期に、株の周りに化成肥料(チッソ-リン酸-カリが8-8-8など)を1㎡あたり30g程度ばらまきます。その後は、次々と花が咲き、実が大きくなり始める4月中旬ごろに、即効性のある液体肥料を1〜2週間に1回、水やり代わりに与えると効果的です。特に、果実の甘さや実つきを良くする「リン酸(P)」や、根の成長を助ける「カリ(K)」の成分が多く含まれる肥料を選ぶのが、甘くて美味しいいちごを作るコツです。
肥料の与えすぎ(チッソ過多)に注意!
美味しい実をつけたい一心で肥料をやりすぎると、特に「チッソ(N)」成分が過多になり、葉や茎ばかりが異常に育ってしまう「つるボケ」という状態になります。こうなると花つきが悪くなり、収穫量が激減してしまいます。肥料はパッケージに記載された規定量を守ることが大切です。
注意点!イチゴは連作できますか?
この質問に対する答えは、残念ながら「できません」とはっきり言えます。いちごは、同じ場所で続けて栽培すると極端に生育が悪くなる「連作障害」が非常に出やすい植物として、農家の間でもよく知られています。
連作をすると、土の中にいちごだけを侵す特定の病原菌(フザリウム菌による萎黄病や、炭疽病菌など)の密度が年々高まります。また、いちごが必要とする特定の微量要素だけが土壌から失われ、栄養バランスが崩れてしまいます。一度連作障害が発生した土壌を健全な状態に戻すには、長い時間と多大な手間がかかってしまうのです。
連作障害を防ぐための「輪作(りんさく)」
連作障害を防ぐ最も効果的で基本的な対策は「輪作」です。いちごを一度栽培した場所では、最低でも3〜4年間は他の科の作物を育てるようにしましょう。特に、土壌を豊かにするマメ科の植物(エダマメ、ソラマメなど)や、ネギ類を間に挟むと、土壌病害の抑制に効果があると言われています。(参考:JAこうか「連作障害」の原因と対策)
家庭菜園で場所が限られている場合でも、安易に同じ場所に植え続けるのは避けるべきです。プランター栽培に切り替えるか、計画的に植える場所を変えていくことが、いちご栽培を長く楽しむための最善策です。
地植えのいちごは植えっぱなしで大丈夫?
地植えにしたいちごを、収穫後もそのまま植えっぱなしにしておくことはできるのでしょうか。いちごは「多年草」に分類される植物なので、冬を越して翌年も芽吹きます。そのため、理論上は植えっぱなしでも育ち続けることは可能です。
しかし、美味しい実を安定してたくさん収穫するという観点からは、植えっぱなしは全くおすすめできません。親株は年々古くなり、人間と同じように勢いが衰えていきます。これを「株の老化」といい、実がだんだん小さくなったり、収穫量が目に見えて減ったりする主な原因となります。また、古い株には病気の原因となるウイルスが蓄積しやすくなるという問題もあります。
植えっぱなしのメリットとデメリット
メリット | デメリット | |
---|---|---|
植えっぱなし | 植え替えの手間がかからない。 | ・株が老化し、収穫量が激減する。 ・実が小さく、味が落ちる。 ・病害虫のリスクが非常に高まる。 ・連作障害が起こる。 |
手間をかけずに、観賞用として少しでも実がなれば良いという場合は植えっぱなしでも構いませんが、毎年美味しいいちごをたくさん味わいたいのであれば、次のセクションで解説する「株の更新」をぜひ実践してください。
Q.地植えのいちごは植えっぱなしにできますか?
前述の通り、地植えのいちごを植えっぱなしにすること自体は可能です。いちごは多年草であり、適切な環境であれば冬を越して翌春には再び葉を茂らせます。
しかし、家庭菜園で美味しい果実の収穫を楽しむという目的の場合、植えっぱなしには多くのデメリットが伴います。株は年々老化し、2年目、3年目と年を重ねるごとにウイルス病などにかかるリスクも高まり、収穫できる実の数や大きさが著しく減少する傾向があります。また、親株から伸びるランナーが無計画に増えることで株が過密状態になり、風通しが悪化して病害虫の温床となってしまうことも少なくありません。
株を更新して毎年たくさん収穫しよう!
毎年たくさんの美味しい実を収穫したい場合は、植えっぱなしにせず、「株の更新」を毎年行いましょう。これは、若くて元気な新しい苗を育てる作業です。
- 春から夏にかけて親株から伸びてくるランナーの先にできる子株を育てます。
- 親株に近い一番目の子株は病気を引き継いでいる可能性があるので、二番目、三番目の元気な子株を選びます。
- その子株を、土を入れた小さなポットにU字ピンなどで固定し、根付かせます。
- ポットにしっかりと根が張ったら、ランナーを切り離して独立させます。これが来年のための新しい苗になります。
- この新しい苗を、秋に新しい場所へ植え付けます。これが、多くの農家でも行われている基本的な更新方法です。
美味しいいちご栽培 地植えの総まとめ
- いちごの地植えは10月中旬から11月上旬の秋植えが基本
- 植え付け2週間前から苦土石灰や堆肥で土づくりを行う
- 植え付け時は株間を30cmあけてクラウンを埋めないように注意する
- ランナーの跡と反対側に実がなるため向きを揃えて植えると管理が楽
- 露地栽培はコストを抑えられ自然な風味のいちごが育つメリットがある
- 一方で天候の影響を受けやすく鳥や害虫への対策は必須
- 寒冷地ではマルチングや不織布で霜や凍結から株を守る工夫が必要
- 庭植えは繁殖力が強く連作障害も起きやすいため計画的に行う
- 2月下旬から3月上旬に追肥を行うのが生育のポイント
- 肥料はリン酸成分が多いものを選ぶと甘い実がなりやすい
- 収穫が終わるまでは不要なランナーや古い葉はこまめに取り除く
- 同じ場所での栽培は避け3年から4年は間隔をあける
- 植えっぱなしは可能だが株が老化し収穫量が減るため非推奨
- 毎年たくさん収穫するにはランナーの子株で株を更新するのが最善
- 美味しいいちご作りはこまめな観察と手入れが最も大切